BLACK TRAP ~あの月に誓った日~
髪型や性格はよく似ているし、途中でセイちゃんと同じ頃、転校していった。
もし、そうなら。
いくら強くても、誰かをいじめるような人は苦手。
絶対、恋愛対象にはならない。
噂のとおり、人をいじめていた過去があるなら。
彼とは距離を置くし、好きにはなりえない。
「──な、わかった?」
「……うん。わかってるよ」
セイちゃんに何かを吹き込んでいた藤川は、彼からすっと離れ、またこちらへと戻ってくる。
「セイー、もう昼休み終わるぞ」
廊下の向こうから男子生徒が声をかけ、セイちゃんがうなずく。
「……じゃあ、また会おうね。七瀬」
「うん、またね」
緩く微笑んだセイちゃんは、軽く手を振り自分の教室へ戻っていく。
「……七瀬。佐々木海里から、もう目移りか」
藤川が呆れた目つきでこちらを見ている。
「そんなことないです。放課後、私も一緒に桜花に行きますから、待ってて下さいね」
藤川を利用するのも、これで最後にしよう。
私はそう、心に決めた。
これ以上そばにいても、昔のことを思い出すだけ。
私が尊敬するのは、佐々木海里ただ一人。
藤川みたいにイジメをするような人は、好きになるはずがないのだから。