BLACK TRAP ~あの月に誓った日~
「──というわけで、もうすぐ桜花高校の学校祭が近いし、私達、こっそり潜入してみようと思うの」
「皇世やお兄ちゃんも一緒に来てくれない? 私達だけじゃ、ちょっと怖いから」
放課後の生徒会室。
作戦を練った私と美愛は、会長と副会長を呼び出していた。
けれど目の前にあるのは、不愉快そうな二人の目つき。
会長の藤川が先に口を開く。
「七瀬が一緒に行くのは駄目だ。桜花は危険な男が多すぎる」
「えー、私も行ってみたいんですけど。学校祭。会いたい人もいるし」
あれから藤川との関係は全く進展はなく。
新たに好きな人を見つけなければ、という焦りが沸いてきていた。
「なおさら駄目だ」
私のよこしまな想いを見抜いたのか、藤川が眉をひそめる。
「どうせ佐々木春馬達とお近づきになりたいとか、そんなところだろ」
「う……」
あっさり図星をつかれ、黙り込む。
「けど、美愛は意外と草食なんだなー、いまだに連絡先も聞けてないなんて」
それは私も驚いた。
人懐こい美愛なら、すぐに二人で遊びに誘えそうなものなのに。