先輩に一目惚れしたんで、サイエンス部に入部します!
生物は運命と出会う
なんてこった!俺、山本大地(やまもとだいち)の頭の中で、大きな音でサイレンが鳴っている。

「えっ?どうしたの?具合悪い?」

心配そうに訊ねてくる先輩に、俺は「大丈夫っす!」と言って全速力でその場を後にした。

ヤバイ、心臓がうるさい。顔が火照ってる。

俺は、高校入学初日に恋に落ちましたーーー。



遡ること、二時間ほど前ーーー。

俺は緊張しながら、高校の門の前に立つ。

周りを山に囲まれた自然豊かなこの場所に、俺の通うことになる高校は建っている。創立百年という歴史ある学校だ。

「ここに通えるのかぁ…」

苦手な勉強を頑張った甲斐がある。俺は嬉しさに頰を緩ませながら、体育館へと向かった。

校長先生の退屈になる長い話を聞き、吹奏楽部の歓迎の演奏を聴いた後、新入生は自分の教室へと向かう。ちなみに俺の担任の先生は男。ちぇっ。美人な女の先生がよかったなぁ…。

先生の話を聞いたらこの日は終わり。みんなさっさと帰り支度を始めてる。俺もその一人だ。

でも、廊下には新入生を部活に入部させようと勧誘をする先輩であふれてるんだ。一人一人に丁寧にプリントを配っている。
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