先輩に一目惚れしたんで、サイエンス部に入部します！

「何で自分、こんな本読んどるん？理科苦手やのに珍しない？誰かに読めって言われたん？」

「先生、俺が何部に入ってるか知ってるよね？俺はサイエンス部の部員だし、知識として入れておかないと…」

星野先輩とたくさん話すためにも！！

「ふ〜ん…。ほな、問題出したるわ！」

「はあっ！？」

意地悪な目をして、杉田先生は口を開く。

「一定量の水に溶ける物質の質量には、限界があるんや。物質がそれ以上溶けへん状態のことをなんて言うん？」

……簡単な問題で助かった。これはわかる！

「飽和。飽和した水溶液のことを飽和水溶液」

「おお！すごいやないか！」

化学の先生に褒められると嬉しい。

「いっぱい勉強したからな！溶質が、溶液に溶けている物体。溶媒が、溶質を溶かしている液体。溶液が、溶質が溶媒に溶けたもの！」

「へえ〜。勉強頑張っとるなあ。えらいで！」

杉田先生は、俺の頭をポンポンと撫でる。女の先生がよかった。星野先輩じゃなくても、女の先生ならまだ嬉しかったのに！何でヤローに撫でられないといけないんだ！

「自分、溶解度曲線はわかる？」

俺は固まり、首を横に振る。杉田先生は解説してくれた。

「水百グラムに溶ける物質の限度の量を溶解度って言うんや。溶解度は、水の温度や物質の種類によって決まっとる。水の温度と溶解度の関係をグラフにしたものを、溶解度曲線言うんやで」

「へぇ〜。あっ、再結晶はわかる！」

「ん？ほな、説明してみ」

「個体を一度水に溶かして、再び結晶として取り出すこと！」

「正解や！溶解度の違いを利用して混合物から純粋な結晶を取り出すことができるんやで。方法は二つ！水溶液を冷やす方法と、水を蒸発させる方法があるんや！」