先輩に一目惚れしたんで、サイエンス部に入部します!
岩井先輩がそう言うと、星野先輩と杉田先生が「その通り!」とハモる。ハモらないで、星野先輩!ハモるなら俺と!!

俺は勉強したことを思い出そうとする。星野先輩に見てもらいたい。えっと…。まだ友永が言ってないことはーーー。

「俺が知ってるのは、電気が動くと磁気も動いて、磁気が動くと電気も動くってことくらいです」

俺がそう言うと、星野先輩は「うん!そうだよ!」と頷く。

「磁石の間や鉄などの間にはたらき、引きあったり、退けあったりする力を磁力って言うの。磁力がはたらく空間を磁界って言うんだ」

「コイルの中に磁石近づけたり遠ざけたりすると、そこコイルに電流が流れるんや。その現象を電磁誘導って言うて、この時に流れる電流を誘導電流言うんやで」

星野先輩と杉田先生が解説をする。

「なら、電流はかるだけじゃなくて、電磁誘導も見てみようか」

実験好きの河内先輩の言葉に、「さすがダーリン!」と岩井先輩。

「こら!気軽に抱きつくな!」

杉田先生が二人を引き離す。この先生がいる前では、星野先輩に近づけないのか…。

まるで、磁石の同じ極じゃん。



「星野先輩!その足どうしたんですか!?」

次の日部室に行くと、先に来ていた星野先輩の足にばんそうこうが貼られていた。

「ああ、これ?昨日バスに乗ってたらバスが急停車して、慣性の法則で倒れちゃったんだ〜」

うちの学校は、半分の生徒がバス通学をしている。俺は自転車通学だけど、星野先輩はバス通学だ。最悪なことに、友永もバス通学で同じバスに乗るらしい。
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