先輩に一目惚れしたんで、サイエンス部に入部します!
星野先輩が怪我をしたことはショックだが、一つ不思議な単語が…。慣性の法則?何だっけ?

「物体に力がはたらいていないか、つりあっている時、静止している物体は静止し続け、動いている物体は動き続けようとすることですよね」

いつからいたのか、俺の後ろに友永が立っていた。

「俺がいたら、きちんと先輩を支えますよ」

下心丸出しの笑顔で、友永は言う。それに気づかずに星野先輩は「ありがとう」と笑顔で答えるから、やっぱり星野先輩は天使か女神だ。

「でももし友永くんが私を受け止めると、私は友永くんを押す作用と、友永くんから押される反作用を感じることになるね」

友永が星野先輩を支えている光景を浮かべたら、怒りで普段はわかる話もわからなくなってきた。あとで調べよう。

「力がつりあう三つの条件は、力の大きさが等しいこと、力の向きが逆向きなこと、一直線上にあることだよ」

友永が質問をしたのか、星野先輩が答えている。ああ〜、近すぎ!杉田先生みたいに言ってやろうかなぁ。

その時、放送が鳴り響いた。

「三年B組の星野優愛さん。職員室まで来てください」

「えっ?何だろう?」

星野先輩は立ち上がり、ドアへと向かって歩く。おいおい、てことは友永と二人きりかよ!

「あっ!」

星野先輩が何かにつまずき、転びそうになる。それを「危ない!」と俺はとっさに支えた。

ええ〜!何すかこの近い距離!胸!胸当たってる!?柔らかい!

「あっ!大地くん、ありがと〜。おかげで転ばずに済んだよ〜」

星野先輩は、顔を赤くしながらお礼を言う。友永が悔しげな顔をしていた。

えっ……星野先輩ってもしかして俺のこと……。
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