先輩に一目惚れしたんで、サイエンス部に入部します!
「う〜ん…。じゃあ、ここで地震からはズレるけど問題です!示準化石を答えなさい!」

岩井先輩の言葉に、俺はすぐに口を開く。これならわかる!答えられるぜ!

「古生代は三葉虫!中生代はアンモナイト!新生代はナウマンゾウ!」

見事、正解!俺はホッとしてため息をつく。

もうすぐ、この部活に入って一年を迎える。友永と俺の恋のバトルが終わるのは、もう少し先の話……。



冬休みに入った初日、真っ暗な夜道を俺は歩いていた。学校の裏山の頂上を目指す。夜の山は妖怪が出てきそうでなんか不気味だ。

頂上に着くと、「遅いよ〜!」と岩井先輩が笑う。制服ではなく、動きやすそうなジーンズを履いてゴツいジャンバーを着ている。もちろん俺も私服。

「大地くん、星がすごくきれいだよ」

白いコートを着た星野先輩が笑う。頂上には人数分の望遠鏡がセットされていた。

冬は星がきれいに見えるから、みんなで天体観測がしたいと岩井先輩が言い、みんなで今集まっている。たしかに空には、きれいな星が煌めいている。

俺はちらりと友永を見る。友永も、俺を見た。今日俺たちはバトルに決着をつけるつもりなのだ。

今日、きれいな星空の下、二人同時に星野先輩に告白する。それで勝負しようと友永が言ってきたのだ。

「太陽の通り道、黄道にある星座は季節によって違うんだ。地球がずっと公転しているからね。春には獅子座、夏にはさそり座、秋はペガスス座、冬にはオリオン座」

岩井先輩が河合先輩と空を見ながら言う。星野先輩も口を開いた。

「北の空は北極星を中心に反時計回りだけど、南の空は東から西に動くんだよね」

待ってましたとばかりに、友永が言った。

「地球は地軸を中心に、一日一回自転をします。地軸は約二十三.四度傾いています」

俺も負けじと口を開く。今日のために、もう勉強したんだからな!友永、星野先輩のハートを掴むのは俺だぜ!
< 23 / 27 >

この作品をシェア

pagetop