クールなイケメンドクターに拾われましたが溺愛されるなんて聞いてません!
タワーマンションに足を踏み入れたときから薄々感じていたけれど……
わたしは本当にここに泊まってもいいのであろうか。
見ず知らずのどこかワケアリ女をいきなり家に泊めてあげるだなんて、いくらなんでも親切すぎないか……?
これってもしかして……今夜相手しろってこと……じゃないだろうか。
なにかしらの見返りは求められるはず。
それならわたしは最初からその気でいるべきかも……。
「とりあえず……風呂に入るといい。そこの扉。タオルとかてきとうに使って」
靴を脱ぎ奥へと進む彼は玄関で棒立ちのままでいるわたしを振り返って静かに告げながらバスルームの場所を顎の先で示した。
「は、はい……!ありがとうございます……!」
ヒールパンプスをゆっくりと脱ぐと足全体が解放感に放たれ、かなり疲れていたんだと自覚する。
パンプスを綺麗に揃えて端に置き、振り返ったときには彼はリビングらしき場所へと消えていった。
バスルームがあるという扉をのぞくようにして開ける。
電気をつけると廊下の照明より明るくて、思わず目を細めた。
チカチカとして夢のなかにいるのかとさえ感じた。