クールなイケメンドクターに拾われましたが溺愛されるなんて聞いてません!


頭を撫でていた大きな手のひらが頬にするりと滑ってきて、ゆっくりと綺麗な顔が近づいてきた。


ここは照明の真下のためはっきりと彼の顔が見える。


ほんとうに………なんて綺麗なんだろう。


緊張しているはずなのに見とれてしまい吸い込まれそうな黒真珠の瞳に酔いしれる。


彼の瞳には、きっと平凡なちょろい女だと映っているだろう。

だけどそれでも構わない。

体だけでいいから………“あの出来事”からずっと一人ぼっちのわたしを愛してほしい──。


近づく端正な顔にそっと瞳を閉じるけれど、いつまで経っても唇は舞い降りてこなくて……彼の吐息を感じたのはわたしの右耳だった。


「とりあえず……その邪魔なものをのけようか」


ささやくように呟かれ、びくりと肩を震わす。


「え……と……」


邪魔な……もの……。

それってもしかして……このバスタオルのこと……?


そんな……こんな明るい場所で裸をさらけ出すだなんて、初めてのわたしには到底思いもよらないことだった。


「じ、自分で……ですか……?」


「そうだ」


「で、電気を……」


緊張のあまり“消してください”の言葉が続かない。


この寝室に入ったときみたいに真っ暗だったら……まだ大丈夫な気がする……。


「俺は、明るい場所でするのが好きなんだ」


正体不明のイケメンさんの大胆発言に思わず目を見開く。


そ、そうか……。

そういう人も、もちろんいるよね。

暗い場所ですると言うのはわたしの勝手なイメージだった。

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