クールなイケメンドクターに拾われましたが溺愛されるなんて聞いてません!
告げられた運命
「ん……」
カーテンからのぞく太陽の光がまぶしく、そっとまぶたを持ち上げた。
目を開ける前から、えらく体が軽くて頭がすっきりしているなと思った。
……なにかがおかしい。
……二秒後、ガバッ!と勢いよく上半身を起き上がらせた。
「な、な、な、何時」
慌ててベッドから飛び退き、枕元に置いておいたはずがなぜか遠くの床に転がっているケータイに飛び付いた。
視界に映る四つのアラビア数字に唖然とする。
【10:26】
も……っもうこんな時間!?
六時にアラームをかけておいたのに……!!
自分の馬鹿!!
泊めてくれただけでもありがたいのに、フカフカのベッドがあまりに気持ちよくて、思う存分熟睡してしまうなんて……。
で、でももしかしたら彼……この家の主である栂野さんもまだ眠っているかもしれない。今日は仕事が休みだと言っていたし……。
薄い希望だがあり得なくはないと思い、布団をたたみ自身の髪の毛や貸してくれた上下の服を整え、音をたてないようにしてひとまずリビングを覗いた……。
「起きたか」
ソファーに長い足を組んで座りコーヒーを飲んでいる彼がこちらに目を向けた。
やはり起きていた。そしてその姿になんて絵になるんだろうと思わず見とれそうになる。
だが今はそれよりもその足元にひざまづきたい。
でもそんなことをして引かれたくはないので彼の前までいって気持ちいっぱいに頭を下げた。