クールなイケメンドクターに拾われましたが溺愛されるなんて聞いてません!


「おはようございます」


受付カウンターで、薄ピンクのユニフォームを着用した女の人がニコッとした笑顔でわたしに挨拶をした。


わたしもすからず「おはようございます」と頭を下げた。


「面接をさせて頂く成田香乃と申します」


そう申し出ると、「うかがっております、お掛けになってお待ち下さい」とうながされた。


スーツ用の黒いヒールパンプスを脱ぎ、蓋のないシューズボックスの端に置く。

その隣に設置されている殺菌される機械のなかからスリッパを一組取り出し足を通した。


ソファには既に四名の患者さんが来院していた。


ソファの端に腰かけようとしたら、診療室であろう扉が開きベージュと黒のワンピースタイプの制服を来た婦人がわたしとアイコンタクトをとった。


「成田さん、こちらにどうぞ」


上品な笑顔に緊張が和らぐ。

この方が直生先生の母親のようで、今朝言っていたようにたしかにおっとりしているように見える。

直生先生が現在三十歳のため、年齢はおそらく50代であろうが、とても綺麗でそうは見えない。


診療室に入ると、受付と中が繋がっていて、その隣の応接室へと通された。


応接室より奥側に女性スタッフが数名こちらを向いて並んでいて、紺のスクラブを着用した背の高い“彼”が指揮をとって朝礼をしている様子だった。


直生先生の初めて見る診療室での格好に、後ろ姿だけなのに面接とはちがうドキドキを感じてしまった。

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