クールなイケメンドクターに拾われましたが溺愛されるなんて聞いてません!


焼き上がった餃子を中央に、二人でいただきますをした。


「美味い。香乃はほんとに料理が得意だな」


満足そうに箸を進める直生先生は、作る側としてもとってもうれしい。


「得意ってほどではないですけど……母が毎日いろんな料理を作っていて、よく手伝っていたのでわりとなんでも作れます。またリクエストしてくださいね」


父は特に“美味しい美味しい”と言いながら食べる人だった。

だから母も毎日腕を振るっていたのだ。

あの頃は“専業主婦でもないのに大変だろうな”と思っていたけど、今ならわかる。わたしも、直生先生のためにいろんなものを作ってあげたい。

学生のころ、めんどくさいと思いながらも手伝っていてよかった。


「そうだな……香乃が休みの日に、またリクエストするよ。仕事がある日は簡単なもので大丈夫だから」


「わかりましたっ!」


ちゃんと言葉にして気遣ってくれる直生先生は、ほんとになんて素敵な人なんだろうと思う。


わたしにとって神様のような存在だ。


「うちで働いてしばらくしたら、家の人に転職したとかなにかしら連絡をいれたらどうだ」


餃子を飲み込んだあと、次の餃子に箸をのばす前に思い付いたように口を開いた。


「そうですね……そうします!!両親は仕事のはなしをしてほしそうにしているときがあるので、きっと喜びます」


この三年間、ゴールデンウィーク、お盆、正月の年に三回帰省していた。


次に帰るのはお盆だ。そのときには……これまでのことを正直に話せたらいいな。


明日から、第二の衛生士人生がはじまる。

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