アブナイ王子様たち
えっ……。


私にありがとうと言われただけで嬉しい?


そ、そんな嬉しいこと……。


感動のあまりなにも言えない私に、叔母さんが手を振った。


「じゃあね、愛海ちゃん。


別荘での暮らし、頑張ってね」


叔母さんの姿が見えなくなったあと、パソコンを持ったまま自室に戻った。


その様子を見て、翔さんがクスクス笑った。


「なんですか?」


「会話、まる聞こえだったよ」


ムカッ。


「もう、出ていってください!」


翔さんを無理やり部屋から追いだし、パソコンを机の上に置いた。


「……俺、あいつのこと、好きだな」


ドアの向こうから翔さんの声が聞こえたが、なにを言っているのかわからなかった。
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