アブナイ王子様たち
「はぁ?」


私の言葉に一番早く反応したのは、悟さんではなく翔さんだった。


鋭い目つきでこちらを睨んでいる。


私は必死で気づかないフリをした。


「翔さんに説得されたわけじゃないですし、行く気になったわけでもありません。


とにかく私は、文化祭には行きません」


とにかく、翔さんとふたりっきりにならないようにしないと。


悟さんと翔さんに背を向け、慌ててお風呂場へと逃亡した。


逃げ場なら自分の部屋でもいいのだが、足がお風呂場に向かっていた。


脱衣場の鍵をかけようとしたそのとき。


「……どこ行ったんだ、あの生意気女」


リビングから翔さんの声が聞こえた。


私のこと、“あの生意気女”って呼んでるし。
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