アブナイ王子様たち
「わかってるよ」


いやいや、わかってないでしょ!


ていうか私の嫌がること、翔さんはもうやってますけどね。


悟さん、注意するのが遅いよ。


たとえ早く注意したとしても、翔さんが素直に言うことを聞いてくれるとは思えない。


むしろ『あんたが嫌がること、もっとしてやろうか』って言われそうだ。


「……とりあえず愛海ちゃんが来るまで、ここで待っていようか」


悟さんがそう言う。


これは、翔さんとふたりっきりにならない絶好のチャンスかも!


嬉しがる気持ちを隠し、そーっと脱衣場から玄関に移動する。


チラッとうしろを確認し、悟さんたちが見ていない隙に靴をはいて、外に出た。


家を出たと同時に、ダッシュで走った。
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