アブナイ王子様たち
うしろを見ずに走り続けること、約数十秒。


そこでようやく足を止めた。


手を膝に乗せ、荒くなった息を整える。


「はぁ……っ、はぁ……っ」


疲れる……。


昔から走ることは好きで、逃げるのは得意な私。


でも、さすがに遠くまで走ると疲れる。


……って、ここ、どこ?


顔をあげ、あたりを見まわした。


視界に知らない景色が広がり、顔が真っ青になるのを感じる。


ど、どうしよう。


私、迷子になったのかも……。


誰かに助けを求めたいが、近くには誰もいない。


誰でもいいから、誰か助けにきて……!


心の中で必死に祈った直後、誰かが私のところにやってきた。


「ねぇ、君」
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