アブナイ王子様たち
しどろもどろになるのは、無理もないよ。


ドキドキと大きな音を立てる心臓を片手でおさえながら、心の中でつぶやく。


と、そのとき。


翔さんが私の前まで歩き、メガネをかけた人の正面に立った。


「まだなにかありますか?


ないんだったら、俺たちから離れてください」


「え、えっと……」


「愛海を傷つけるようなことしたら、絶対に許しませんよ」


えっ……!


翔さん……い、今、“愛海”って……!


どうして……?


どうしてこんなときに、私の名前を言うの?


私が名前で呼んでって言っても、呼んでくれなかったのに。


わからない。


翔さんがなにを考えているか、わからない。


心臓がさらに騒ぐのを感じる。


体内からはじけ飛ぶんじゃないかというくらい、心臓がバクバクと音を立てている。
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