アブナイ王子様たち
もう、心臓め、うるさい音立てないでよ!


なんで翔さんに“愛海”って呼ばれたくらいでドキドキしてるの!


両頬を手でパシパシ叩き、心を落ち着かせようとする。


しかし、ドキドキはおさまらない。


それでも心を落ち着かせようとする私を尻目に、翔さんがメガネをかけた人を睨みつけた。


「もう二度と彼女に近づくな」


「は、はい、すみません……」


翔さんに睨まれたそのメガネの人は、しょんぼりした様子で文化祭会場内に戻っていった。


この場にいるのは、私と翔さんだけになった。


その直後、突然、翔さんがくるっとこちらを振り向いた。


もしかして、翔さん、文化祭を見てまわろうとか言うんじゃ……!


そう思ったが、翔さんは眉をハの字にして、私に謝った。


「……ごめんな」
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