アブナイ王子様たち
心の中でそうつぶやいていると、おもしろそうな顔をしていた翔さんが、突然、私の正面に向き直った。


な、なに?


「……帰るか」


えっ、どうして……。


翔さん、大学の文化祭に行きたかったんじゃないの……?


「も、もう帰るんですか?


まだなにも見てないですよね?」


「本当は見てまわろうかと思ってたけど、あんたが大学にいるやつらに囲まれてたの見て、気が変わった」


「気が変わった?」


というのは……。


「あんたをいじるやつは、俺ひとりだけでいいってこと」


えっ……⁉︎


翔さんの言う“いじる”が、なんか違う意味な気がするけど……。


指摘したほうがいいかな。


いや、やめておこう。
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