アブナイ王子様たち
「おかしいに決まってんじゃん。


俺の言葉を真に受けやがって。


あんなの冗談だよ、冗談」


なっ……!


じゃあ『可愛い』っていうのは嘘ってこと⁉︎


なんで嘘なんか言うの!


やっぱり翔さんは嘘つきだ。


頬を熱くさせたりドキドキして損した!


私のドキドキを返してよ!


心の中ではそう思いながらも、平静を装う。


「……その封筒の中、なにが入ってるか知ってるんですか?」


そう聞いた直後に、笑いをおさえるような声が聞こえたが、スルーする。


頬に帯びた熱を冷まし、翔さんの返事を待つ。


翔さんが口を開けたのは、私が頬を冷ましはじめてから数秒後だった。


「……あぁ、まぁな。


この時期になると、必ず届くからな」
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