アブナイ王子様たち
うぅっ、悔しい……。


なんで考えていたことを見抜かれちゃうかな。


しかも、意地悪な翔さんに。


握り拳を作って、それをぷるぷると震わせた。


それと同時に、あることに気づいた。


「あっ……パーティーに着ていくドレスがないんだった……」


そのつぶやきに対し、翔さんは意地悪な笑みを浮かべた。


「今着てるままの服でよくね?


たぶん、参加する人たちに笑われるけどな」


ムカッ!


「全然よくありません!」


あぁ。


ドレスがないってこと、翔さんに言うんじゃなかった……。


翔さんは優しいのかと思ってたけど、違った。


「ドレス、どうしよう……」


「自分でなんとかしろよ。


俺、ドレスを探す手伝いはしねぇからな」


「ひ、ひどい!」


意地悪でドSのままだ。


翔さんに対する気持ちは、恋なんかじゃないな。


そう確信した。
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