アブナイ王子様たち
鈍感って、2回も言わなくていいでしょ!


「私、自分のこと鈍感だって思ったこと、一度もないよ!


だからって敏感ってわけでもないけど……鈍感なんかじゃないから!


今度から鈍感って言わない……」


パシッ。


最後まで言いきる前に、薫くんに手首を強く掴まれた。


チラッ、薫くんのほうを見てみる。


こちらを見つめる大きな瞳。


キュッと結んだ唇。


その真剣な表情に、ドキッとする。


薫くんが、こんなに真剣な顔を向けるところを、見たことがない。


「な、なに……?」


そう尋ねる自分の声は、なぜか震えていた。


おそるおそるといった様子で、薫くんから目をそらしたとき、薫くんが口を開けた。


「……俺、あんたになにしたか全然覚えてないけど、あんたのことが好きなのは事実だよ」
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