アブナイ王子様たち
それに……薫くんが私のことを好きでいたことに驚いている。


「か、薫く……」


「俺、本気であんたのこと好きなんだ。


悟兄より、翔兄より、誠のやつより、匠より、あんたへの気持ちは強いと思う。


正直……俺以外を選ばないでほしい」


ドキッ。


薫くんの瞳が、私をとらえて離さない。


どうしよう。


心臓のドキドキが止まらない。


人生初の告白に、まだ現実を受け入れられない。


心臓のドキドキが最高潮に達したところで、薫くんが私の手首を離し、そっと目をそらした。


そして、私に背を向け、部屋を出ようとする。


だが、部屋を出る前、薫くんが顔だけをこちらに向けた。


「俺のこと、好きになってもいいから」


私に聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声でそう言ったあと、薫くんは部屋を出ていった。
< 238 / 642 >

この作品をシェア

pagetop