アブナイ王子様たち
だが、爪が皮膚に食い込んでも一生懸命我慢して、私は精いっぱいの笑顔を叔母さんに見せた。


「汚くないですよ。


叔母さんの家に泊まるっていうだけで私は幸せですから」


ブンブンと両手を顔の前で振って、叔母さんを安心させようとする。


案の定、叔母さんは安堵の表情を浮かべた。


「ありがとう、愛海ちゃん。


愛海ちゃんにそう言われるだけで涙が出ちゃうわ」


今にも泣きそうな顔の叔母さんを軽くスルーして、スッとしゃがみ込む。


そして、床に散らばったゴミを拾い集めた。


私の突然の行動に目をしばたたかせる叔母さん。
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