アブナイ王子様たち
気になってしょうがない。


歯ブラシを動かす手が止まりそうになった、ちょうどそのとき。


「……邪魔」


突然、近くからそんな声が聞こえてきて、思わず口に含んでいた歯磨き粉を出してしまう。


だ、誰⁉︎


口の周りに歯磨き粉がついているのもおかまいなしに、声のしたほうに視線を向ける。


そこにいたのは、匠くんだった。


「た、匠くん、どうしてここに……⁉︎」


「今から、シャワーを浴びようかと思って」


「しゃ、シャワー、ですか……」


「あぁ、だから早く歯磨きを終わらせてほしいんだけど」


少しぶっきらぼうに、匠くんが言う。


こうやって、ぶっきらぼうに言われるのは、ちょっと傷つく。


だけど、自分の気持ちをはっきり言える、素直な人だな、とも思う。
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