アブナイ王子様たち
だけど、私がドキドキしていることに、匠くんはまったく気づいていない。


「あんなの、気にするなよ」


えっ。


「あ、あんなのって……」


「俺は、愛海が気味の悪い手紙のことで苦しんでるところを見たくない。


だから、愛海に気味の悪い手紙を送ったやつが許せない」


「…………」


「……俺がその手紙を送った犯人だったら、絶対に愛海を苦しめたりしない。


犯人じゃなくても、苦しませたりしない」


匠くん……。


冷静な表情だけど、口調が優しい。


優しい口調で話しているから、勘違いしてしまいそうになる。


もしかしたら、匠くんも私のことが好きなのかもしれないと。


ねぇ、匠くん。


優しい口調で話してるのはなんで?


私のことが好きだから?


それとも、なにか別の理由?
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