アブナイ王子様たち
翔さんが意地悪をせずに、私の仕事を代わりにやると言ってくれたのは、私のことを気遣っているからだろう。


昨日、私あてに気味の悪い手紙が届いたのを鮮明に覚えていた証拠だ。


翔さんに仕事をまかせ、朝ご飯を食べたあと、私は悟さんに準備ができたと声をかけた。


私の様子を見た悟さんはニコッと微笑んで、家の前に停めていた車に乗った。


どうやら、私が我妻家の5人と出会う前に見た黒い車は、悟さんのものだったらしい。


悟さんが免許を取っていたことに驚きながら、私は悟さんの車に乗った。


そこまでは覚えてるんだけど……。


チラッと、悟さんのほうに目を向ける。


悟さんは、私が見ていることに気づいておらず、会社の人たちとの会話に夢中になっている。


悟さん……なんで自分が手伝いにいってる場所に、私を連れてきたんだろう。
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