アブナイ王子様たち
私、ここにいてもいいのかな。


ちょっと不安になる。


悟さんからそっと目をそらし、悟さんの死角となる場所に移動する。


その直後。


会社の人のひとりが、突然、私のほうに目を向けて、少し驚いたような顔をした。


「あれっ?」


私の存在に気づいたみたいだ。


そう思ったのは悟さんも同じだったようで、こちらを見て椅子から立ちあがる。


そして、私の右隣までやってくる。


今まで悟さんが私のすぐ近くに来たことは、出会って以来なかったような気がする。


「すみません、紹介が遅れました。


彼女は、来栖川愛海ちゃん。


僕の家に住んでるお手伝いさんです」


悟さんは、来栖川グループの元お嬢様だとは言わなかった。


もし言ったら、私が『もうお嬢様じゃない』と思ってしまうと考えたからだろう。
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