アブナイ王子様たち
心の中で、必死にそうつぶやき、ゆっくりと目を開ける。


「……っ!」


その瞬間、心臓が再び大きく跳ねた。


私の視界を、翔さんの顔が独占していたから。


つまり、翔さんのドアップが映ったわけだ。


ち、近い!


顔が近いよ!


翔さん、ただでさえイケメンなのに、顔を近づけられたら、ドキドキしすぎて心臓に悪いよ!


なんて思っていても、ドキドキしているためか、声が出ない。


そんな私をスルーして、翔さんがチラッと、どこかに目を向けた。


「……あそこにいるな」


え?


あそこにいる……?


あそこってどこ?


そして、そこに誰がいるの?


気持ちが、言葉になって出てくるのに、数秒もの時間がかかった。


「ど、どこに……だ、誰がいるんですか……?」


やばい、まだドキドキしてる。
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