アブナイ王子様たち
どうか、私のこのドキドキが、翔さんに届きませんように。


心の中で必死に祈る。


その直後、翔さんが私から少し顔を離して、口を開いた。


「見えないか?


階段を下りてすぐのところの、ベンチの近く」


階段を下りてすぐの、ベンチの近く?


翔さんが言った場所に、チラッと視線を向ける。


階段を下りてすぐのベンチは、視界にギリギリ映っているので、ストーカーの姿を確認できる。


視線の先に、フードコートで見た黒いトレーナーの男の人がいた。


男の人は、いまだにキョロキョロと、首を左右に振っている。


「まだ私たちを探してるんですかね?」


「たぶんな。


言葉を聞く限り、ストーカーの男は、俺のことを邪魔者だと思ってるみたいだな」


私もそう思う。
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