アブナイ王子様たち
その言葉が聞こえたと同時に、パチッと勢いよく目を開けた。


そして、翔さんの首にまわしていた腕を、ゆっくり離す。


閉じるまで視界に映っていた、黒いトレーナーの男の人の姿がない。


どうやら、本当に帰ったようだ。


胸に手を置き、ほっと撫でおろす。


「よかった……」


「黒いトレーナーのあの男、これであんたのことをあきらめてくれたらいいんだけどな」


「はい……」


ストーカーがいなくなったことに安心していた私だったが……。


ストーカーの足音が遠ざかっていく前の出来事が、頭の中を支配していた。


途端に、火のついたように、顔が熱くなった。


わ、私……ストーカーに見られている間、いったいなにを考えていたんだろう……。


ストーカーがいたときは、翔さんとのキスが気持ちのいいものに感じられた。
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