アブナイ王子様たち
その言葉を言いきる前に、誠さんがボソッとなにかをつぶやいた。


なにを言ったんだろう。


なにを言ったのかを尋ねたら、今の誠さんなら答えてくれるだろう。


「あの、誠さん……」


「なに?」


「今……なんて言ったんですか?」


そう聞く自分の声が堂々としたものだったことに内心驚く。


けれど、表情には出さない。


誠さんが私の質問に答えたのは、質問をしてから十数秒後だった。


「恋だよ、それは」


「へ……?」


恋……?


「愛海ちゃんが、翔兄に対して抱いてる気持ちは恋だよ。


うん、間違いない」


そう断言する誠さん。


なにか、理由や根拠があるのだろうか。


「恋っていうのは、特定の相手にドキドキしたり、その人のことしか考えられなくなるものなんだよね」
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