アブナイ王子様たち
誠さんが、あはは、と笑いながらそう言う。


好きな女の子に、意地悪したくなる……。


もし、翔さんが私をいじる理由がそれだったとしたら、翔さんも私が好きってこと……?


やばい……胸のドキドキが止まらないよ。


頬に帯びる熱も、冷めてくれない。


その直後。


「……実るといいね、愛海ちゃんの恋」


誠さんが明るく笑う。


誠さん……。


私のために、みずから身を引いてくれるなんて。


優しいよ……。


「ありがとうございます……」


「それじゃ、悟兄たちがいるとこに戻ろうか」


「はい……」


誠さんが立ちあがって歩きだし、私も立ちあがって、誠さんを追いかける。


私が、翔さんに対してドキドキしている理由がわかった。


私は、翔さんに恋をしていたんだ。


翔さんに恋はしないと思ってたのに、いつの間にか恋をしていたんだ。


この気持ち、翔さんには言わないでおこう。


フラれるのが怖いから……。
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