アブナイ王子様たち
必死に声を振りしぼった直後。


ガチャッ。


「ただいまー」


玄関から、翔さんの声が聞こえてきた。


慌てて匠くんの手を振り払い、匠くんの部屋をあとにする。


階段を下り、玄関まで駆け寄る。


「おっ、あんた、やっとで起きたんだ」


少しびっくりした様子でこちらを見る翔さん。


手には、なぜか水玉の薄い素材のバッグがある。


しかも、バッグからネギがひょこっと顔を出している。


「ど、どこに行ってたんですか?」


「買いものだよ。


匠が風邪ひいたって言ってたから、食材を買いにいこうと思ってさ」


そうなんだ。


匠くんが食べるものを買いに、買いものに行ってたんだ……。


と、突然、翔さんがニヤッと不敵な笑みを浮かべた。


「なに?


もしかして、あんた以外の女とデートしてると思ってた?」
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