アブナイ王子様たち
頭の中で考えている私をスルーして、翔さんが私の両頬をパッと離した。


両頬が自由になり、暴れるのをやめる。


翔さんが、キッチンにあるテーブルに、持っていたバッグを置く。


「……ふぅ、重かったな」


重かったなって。


自分で買ってきたんだから、文句を言う立場ではないと思うんだけど……。


心の中でそうつぶやく私をまたもやスルーして、リビングのほうに向かう翔さん。


そして、リビングに着くなり、翔さんがボソッとつぶやいた。


「なんだこれ」


ん?


これってなんだろう。


翔さんの言葉の意味をたしかめるため、リビングに向かった。


「げっ……!」


思わず、変な声を出してしまった。


そこには、半開きになった押し入れと、崩れ落ちた大量の箱が広がっていた。
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