アブナイ王子様たち
あぁ、しまった……。


朝ご飯と匠くんのことで、頭がいっぱいだったから、匠くんが散らかした箱を整理するのを忘れてしまった。


あっ、匠くんのことといえば……。


「あ、あの、翔さん」


「……なに」


「風邪薬って、この家にありましたっけ?」


「ねぇよ」


えっ!


そんなあっさりと否定しなくても……。


「匠くんの風邪を悪化させるつもりですか⁉︎」


「そんなわけねぇだろ。


風邪薬、ちゃんと買ってきたっての」


ほら、と言って、翔さんが水玉のバッグから風邪薬の箱を出し、私に見せる。


風邪薬を買っていたって……。


「そ、それを早く言ってくださいよ!」


「いやー、あんたが、風邪薬が家にあるかって聞いたから」


た、たしかに聞いたけど!
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