アブナイ王子様たち
5人の優しさ
「……うわ、けっこう熱あんな」
翔さんが帰ってきてから数十分後。
匠くんの部屋に来た翔さんと私は、匠くんの様子を見ていた。
そして、ベッドの脇にある体温計を手に取り、匠くんの熱を計る翔さん。
体温計に表示された数値は【38.5℃】。
海に行く日まで無理をしていたようだ。
風邪をひいていたのに、無理やり元気なフリをしていたのだろう。
匠くん……。
チラッと、匠くんの顔を見てみる。
ベッドの中で、低いうなり声をあげており、つらそうに呼吸している。
それに、顔が真っ赤で汗だらけ。
「……匠、今日は一日、ベッドで寝てたほうがいいぞ」
「翔、兄……」
荒い呼吸をしながら、翔さんのほうに目を向ける匠くん。
その目から、涙がこぼれていく。