アブナイ王子様たち
うわぁ……涙が出てきそう。


翔さんと匠くんの間に、たしかな兄弟愛があることがわかったから。


目もとを指先でおさえたそのとき、翔さんが、急に、こちらを向いた。


そして、私と目が合うなり、ニヤッと笑った。


「あれ?


なに、もしかして匠が羨ましくなった?


俺に優しくされたから、自分も体調不良になりたいなって思った?」


「は、はぁっ⁉︎」


そう思うわけないじゃん!


あー、涙が出そうになったのに!


ほっこりした気持ちを返してよ!


翔さんが少しでも優しいと思った私がバカだったよっ。


不機嫌だということをアピールするために、頬を風船のように膨らませる。


だが、翔さんには効果がなかったようで、私の頬を指でつんつんと突きながら、こう言う。
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