アブナイ王子様たち
観覧車で、告白の返事
暑い日差しの中で涼しい風が吹きはじめた、ある日のこと。
いつものように、家の中を掃除していると。
誰かが階段を下りる音が聞こえてきて、掃除機を動かす手を止めた。
誰だろう。
ドキドキしながら、階段のほうを見てみる。
その直後、階段を下りた人らしき姿が、私の視界に現れた。
「……よう」
「ど、どうも……」
家の中の挨拶で『どうも』はないと、心の中でツッコミつつも、軽く頭をさげる。
視界に現れたのは薫くんだった。
薫くんは上下黒のスウェットを着ていて、どこかに出かける気持ちが全然ないように見える。
さすが薫くん、インドア派の人だな……。
……それよりも。
今日は平日なのに、どうして薫くんが家にいるんだろう。