アブナイ王子様たち
無理やり翔さんの体を引きはがし、別荘に戻る。


「……ふっ、素直じゃない女。


でも、あの女のああいうところが、俺は好きになったんだけどな」


うしろから翔さんのつぶやきが聞こえた気がしたが、気づかないフリをする。


ダメだ。


翔さんといるとドキドキしちゃって、告白できない。


きーちゃんに背中を押されて、告白しようと思ったけれど、今は無理だ。


心臓がいくつあっても足りないよ。


ストーカーの視線を意識せずに泳げたから、そこはいいけど。


考えるのは、翔さんのことばかり。


好きでもない女の子に抱きしめたりすることって、あるのかな。


好きでもない女の子にキスすることって、ありなのかな。


翔さんの気持ちを知りたいけど、フラれるのが怖い……。


そう思いながら、別荘の中に入った。
< 598 / 642 >

この作品をシェア

pagetop