アブナイ王子様たち
たしかに、感心している場合じゃない。


「ほら、うしろ向けよ。


ロープ解いてやるから」


「あ、ありがとうございます……」


素直にうしろを向く。


横倒しのまま、うしろを向いたので、二の腕がコンクリートの床にすれて、熱を持つ。


しばらくして、ロープの解ける感触があり、両手が自由になった。


体を起こし、服についた汚れを手で払う。


横倒しの状態でうしろを向いたとき、二の腕に灰色の粉のようなものがついたのだ。


完全に服についた汚れを払ったとき、黙っていた紀野くんが口を開けた。


「なんで……なんで俺の恋の邪魔をするんだ、お前は……」


その怒りの言葉は、翔さんに向けられたものだろう。


紀野くんにとって翔さんは、邪魔者という厄介な存在だから。
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