アブナイ王子様たち
翔さんも、紀野くんにとって自分が邪魔者であることをわかっていたようで。


「……お前、よっぽど俺のことが嫌いなんだな」


私の目の前に立ち、自分を盾にするように私を守る。


その姿に、胸がキュンとなった。


「あぁ、嫌いだよ。


俺の恋の邪魔をするんだからな。


邪魔者以外のなにものでもない」


「へぇ。


この女を怖がらせて、無理やりロープで両手を拘束しても、そんなことが言えんの?」


「……っ!」


余裕の表情を崩さない翔さんの言葉に、目を見開いた紀野くん。


どうやら、私にしたことが恐怖を与える行動だったと、ようやく気づいたらしい。


「お、俺は……愛海ちゃんに振り向いてほしかっただけなのに……」
< 620 / 642 >

この作品をシェア

pagetop