我が儘社長と不器用な2回目の恋を
「夕映はどれがいい?」
「えっと………このブラックの可愛いかな。」
「じゃあ、それと………俺が選んだ、これとこれ。それに着替えて見せろ。」
「へ?わ、私こんな真っ赤な色とか、花柄とか………似合わないよ!」
「俺が良いって思ったんだ。とりあえず、着てみろ。」
「…………うぅー。笑わないでね。」
斎が選んだのは、真っ赤な色が鮮やかなタイトめなドレスと、真っ白の記事に花柄が綺麗に刺繍されているドレスだった。華やかすぎて、なかなか自分では選ばない種類のものだったので、夕映も驚いてしまう。
けれど、斎が選んでくれたものであるし、彼が「試着しろ。」と言ったのだから、着てみないといけないのだろう。それまで、彼は諦めないとわかっていた。
試着室に入った後は、隠れてため息をついた。
始めに着たのは、もちろん自分が選んだ真っ黒のドレスだった。けれど、同じ生地で裾に花が立体的に作られており、とても綺麗なドレスだった。胸や背中が少し開いているのは気になったけれど、そこまで気にするものでもないかな、と思い夕映はすっかり気に入ってしまった。
「着替え終わったよ。」
恐る恐るカーテンを開ける。
すると、そこには店員の姿はなく、斎だけがソファに座って待っていてくれた。
夕映がカーテンから出てくると、少し驚いた顔になっていた。
「あ、あんまり似合ってない……かな?」
「………いや、綺麗だ。思った以上に似合ってていいな。白い肌がさらに映えるな……こういうのもありだな。」
「よかった。私もこのドレス気に入った。」
「………確かにこれもよかったな。おまえは自分が似合うもの知ってるんだな。」
感心しながら微笑む斎。それを見て、彼に認められたような気がして、夕映は少しだけ嬉しくなった。
「これもいいが。他のも着てみろよ。絶対に似合う。」
「う、うん………。」
夕映は内心では赤なんて自分には似合わないよ。と思っていた。
実際に着た事がない。それに花柄も同じで、ピンクや赤を基調にしたかわいい系のものはあまり着た事がなかった。
「似合わなかったら……斎に見せるのイヤだな。」
そんな弱音を試着室の中で一人呟いていた。