我が儘社長と不器用な2回目の恋を
「なり直さないかって……なんで。」
「話してみてやっぱりおまえがいいなって思ったから。………あの時もおまえが別れたいって言ったから別れただけだったしな。」
「それは、そうだけど……。」
「正直、女はいたけど恋人じゃないし、おまえと付き合うなら切る。だから、おまえも男がいるなら別れて、俺と付き合えよ。」
あまりに突然な事に驚きで言葉が出てこなかった。
恋人としてやり直したい、なんて久しぶりに再会して言われるとは誰も思わないだろう。
唖然としながら何も言わずに彼をまじまじと見つめると、無言が気にくわないのか、斎は指でおでこを押してきた。
「黙るな。返事をしろ。」
「だって、急すぎる。」
「無言は肯定なんだな。」
「そ、それは違う!」
夕映は斎の体を押して、彼の腕から逃げた。
そして、まっすぐと彼を見つめた。
離れたところから見ても彼の瞳は、宝石のように輝いていて、その美しさに魅了されてしまいそうになる。
視線を逸らそうとしても、逸らすことなんてできないのだ。
彼はそれをわかっているのか、斎も視線をずらす事なく見つめてくる。
緊張した雰囲気の中で、夕映は口を開いた。
「そ、そういうのは………酔ってない時に言って。」
「………酔ってるのはお前だけだろ。俺はあれぐらいでは酔わない。」
「でも、お酒は入ってるでしょ。……また付き合い直すなら、ちゃんと告白してからにして。」
「…………はぁー……。ったく、めんどくさい奴だな。」