好きって言ってよ、ばか。
パッと後ろを振り向くと、そこには親友の顔。


「優妃ー!!」


もうなんか、後光が差して見える。
涙が出てきた。

「どしたの!?律くんと登校してくるなんて!珍しいじゃーん!」

優妃が興奮気味に話しかけてくる。

優妃は、とにかくかわいくて、美人。
本当なら、なんていうか、イケてるグループにも余裕で入れそうなルックスを持っている人だ。

だけど、私と一緒にいてくれる。

自分自身が、とてつもなく隠キャ!って訳ではない、、と思うんだけど、それでもちょっと申し訳ない。

と言うと怒られたり。
明梨といるのが1番楽しい、って。

ちなみに、私のことを呼び捨てで呼ぶのは、優妃と律だけだ。
他の人は私のこと、明梨ちゃん、とか市川さん、とか呼ぶ。
仲良くするし、喋るけど、呼び捨ての仲にまでは至らない。

そんな感じ。

昔から、他人と仲良くするのが下手だった。
友達もほとんどいなくて、一人で。
いじめとかにはならなかったけど、どこか距離を置かれていた。

高校ではどうにか変わろうと思って、割と明るいキャラを演じているけど、やっぱり疲れる。
人ってそう簡単に変わらないんだなあと思う。

でも、そんなわたしにも、高校に入って親友ができた。


川崎優妃。


大切な人。
この子の前だけでは、唯一素の自分でいられる気がする。
絶対に傷ついて欲しくない。
いつも笑っててほしい。

大好きだから。

そして……。





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