好きって言ってよ、ばか。
ドキドキするのをどうにか抑えて、二枚の紙をスカートのポケットに滑り込ませる。
どうしよう、見られてたら完全に挙動不審な人なんだけど。

今日の夕食はハンバーグ。
今日の夕食はハンバーグ。

呪文のように繰り返しながら、もう私はハンバーグの作り方をイメージしていた。
帰ったら材料買いに行こう。
買ってきて、そしたらいつも何だかんだ律も手伝おうとしてくれるから、一緒に形作ろう。

そんなことを考えていると、自然と頰が緩んでしまった。

楽しみだなぁ。
優妃も誘ってあげたいけど、夕食だしなぁ……。


いつのまにか先生の話は終わったようだった。

ヤバい私、先生の話何も聞いてなかった。

普通なら焦る所なんだろうけど、まあ律がいるし。
家に帰ったら、なんの話してたのか聞こうかな。

そんな楽観的なことを考えていたら、号令がかかったので立ち上がる。

おざなりに礼をして、今日は解散となるようだった。


「明梨、帰ろ」

優妃が声をかけてくれたので笑顔で頷く。

「今日はちょっと早く終わったね!まだお昼も食べてないし」

「そうだねえ。……お昼の予定、ある?」

優妃が遠慮がちに言葉を発したので、思わずニコニコしてしまった。

「ないよっ!てことで、お昼食べに行こう!」

「ほんと!?」

優妃の顔が分かりやすくご機嫌になった。
だがコンマ数秒で困った顔になる。

「律くんと食べる予定あったりしない?」
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