好きって言ってよ、ばか。
「そういえば、な、なんで私の部屋にいるのよっ!!」

思いっきり枕を投げつける。
ボスンッという小気味いい音がした。

「な、何す」
「犯罪だよ犯罪!!ねっ寝顔見たでしょ!?もう!!」

涎とか出てたらどうしてくれるっての!?

ギャーギャー言っていると、律が苦笑した。

「何をいまさら…。幼なじみなんだから、お前の寝顔なんて見飽きたよ」

「ぐ・・・」

たしかにそうだ。
私と律は幼なじみ。
ずっとずっと、小さい頃から一緒なのだ。
誰よりも律の側にいたのは私。
律のこと、1番知ってるのも私。

口を尖らせる私を見て、律がまた破顔する。

「はいはい、早く準備しな。待っててあげるから」

「……ん、ごめんね、下で待ってて」

「はいはい」

階段を降りていく律の背中をじっと見つめた。

……結局、律はさりげなく優しい。
いつまでも妹扱いなのは悔しいけど、どれほど救われてきたことだろう。


「……まあ、好きとかじゃないけどさ」


ぽつりと呟く。

これは本心だ。
好きとか、そういうんじゃない。
ただただ、幼なじみとして、大切な人。
それだけ。

「……こんなこと絶対言えないけどね」

思わずくすっと笑う。
言ったらあいつ、どんな顔するかな。




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