好きって言ってよ、ばか。
「あたしは……、律くんの一途なところが好きかな」
・・・・・。
・・・・・!?
「え!?律って好きな人いるの!?」
待って、それは初耳!
律ってば、何も言わないんだから!!
興奮気味に返答すると、優妃は呆れたように笑った。
「うん……。まあ、見てれば分かるかなぁ……」
「ええ!ほんとに!?……あ、でも……」
気分が急に萎んでしまう。
「律の彼女は、優妃がいい……」
しょぼくれる私を見て、爆笑する優妃。
「テンション上下しすぎでしょ!!ウケる!!」
優しい瞳で。
「そんなのどうでもいいよ。好きな人が幸せなら、それでいいじゃない」
純粋に胸を打たれた。
優妃は本気で言っている。
こんな言葉、他の人が言っても綺麗事にしか聞こえないのに。
優妃が言うと、とても虚言になんて聞こえない。
「ゆう、ひ……」
俯く私の頭を、優妃は優しく撫でてくれる。
好きな人が、好きな人と幸せになれればいいのに。
そんなことを身勝手に願ってしまうよ。
「まあ、諦めないけどね!」
優妃が朗らかに笑う。
「せっかく同じクラスになれたんだもん!それにもうすぐ宿泊研修もあるしね」
「……そう、だったね。班、一緒になろうね」
優妃は大きく頷くと、顔いっぱいに笑みを浮かべるのだった。