好きって言ってよ、ばか。
今日から高校二年生になる。
クラス替えが今日発表されるからドキドキだ。
初日から遅刻するわけにはいかない!
「律、おまたせっ」
手早く身支度して律の元へダッシュする。
「行こ!」
「行こっつったって、明梨まだ朝ごはん食べてないじゃん」
「いいよいいよ!律まで遅刻させる訳にいかないもん!ほらほら!って、うわっ」
何かを口に突っ込まれたと思ったら、なんだよこれ、美味しい……。
「特製サンドイッチ。せっかく作ってあったから食べて」
「いきなり口に入れないでよ〜・・・」
もぐもぐしながら愚痴る。
美味しいからいいんだけど。
「今日の朝ごはん当番って律のお母さんだっけ?」
「ん、そうだったと思うけど」
ついつい目線が下にいった。
床を見つめながら控えめに声を出す。
「あの、何回も言ってるんだけど……、朝ごはんくらい私が作るよ……。良ければみんなの分も……。ただでさえ居候してるのに、朝ごはんまで出してもらっちゃって……」
立つ瀬がないよ……。
五十嵐家には本当に感謝している。
とある理由で家族を失った、ただ家が近くて幼なじみだっただけの私を、快く引き取ってくれた。
どれだけ謝恩してもしたりない。
「それは言わない約束だろ」