好きって言ってよ、ばか。

今日から高校二年生になる。
クラス替えが今日発表されるからドキドキだ。

初日から遅刻するわけにはいかない!


「律、おまたせっ」

手早く身支度して律の元へダッシュする。

「行こ!」

「行こっつったって、明梨まだ朝ごはん食べてないじゃん」

「いいよいいよ!律まで遅刻させる訳にいかないもん!ほらほら!って、うわっ」

何かを口に突っ込まれたと思ったら、なんだよこれ、美味しい……。

「特製サンドイッチ。せっかく作ってあったから食べて」

「いきなり口に入れないでよ〜・・・」

もぐもぐしながら愚痴る。
美味しいからいいんだけど。

「今日の朝ごはん当番って律のお母さんだっけ?」

「ん、そうだったと思うけど」

ついつい目線が下にいった。
床を見つめながら控えめに声を出す。

「あの、何回も言ってるんだけど……、朝ごはんくらい私が作るよ……。良ければみんなの分も……。ただでさえ居候してるのに、朝ごはんまで出してもらっちゃって……」

立つ瀬がないよ……。

五十嵐家には本当に感謝している。
とある理由で家族を失った、ただ家が近くて幼なじみだっただけの私を、快く引き取ってくれた。
どれだけ謝恩してもしたりない。


「それは言わない約束だろ」



< 3 / 55 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop