好きって言ってよ、ばか。
なんだか肩の力が抜けて、後ろのソファーに倒れこむ。

その上からニヤニヤしている先生に覗き込まれた。

「な、なんですか…」

「明梨ちゃんは、五十嵐のこと異性として見ちゃったりはしないの〜?」

・・・!?

「なっ、んなわけ!律はもう兄弟みたいなもんで…」

慌てて弁解しても、先生は一層ニヤニヤするばかりで。


「じゃあもし、五十嵐の方が明梨ちゃんのこと異性として見てたらどうする?」


・・・え・・・。

「や、そんなことは……」

「もしもの話だよ〜!」

先生はケラケラ笑いながら私をつつく。
でも、目は割と本気だ。
恐い。


……律が、私のことを女の子として見る……?


そんなこと、考えたこともなかった。
ていうか、ありえないと思うし。

黙ったままの私を見て、先生はグイッと身を乗り出した。


「じゃあ、五十嵐に告白されたらどうする?」


・・・!?

こくはく!?
いや、そんなん考えられないて!!
めっちゃ面白いじゃん、それ。


「………」


断る、よ。

もしも律が私のことを好きで、私も律のことを好き、つまり両思いだったとしても、私は律と付き合ったりはしないと思う。



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